百折不屈の精神で第31回全日本テコンドー選手権大会トゥル4段の部で見事優勝した船水健二師範に大会の感想等をお聞きしました。

4段初優勝を果たした今の気持ちをお聞かせください。

これまでの全日本大会でマッソギでは優勝経験がありましたが、個人のトゥルでは優勝経験が無かったため、やっと優勝することが出来て本当に嬉しい気持ちです。

今回の大会に出場するにあたって困難だったことは何ですか?

大会2週間前に、稽古中に足の親指を骨折してしまった事です。

怪我をしている状態で出場する事に不安はありませんでしたか?

もちろん不安はありましたが、それよりも大会に出場したいという気持ちが強かったです。
ですが、現在複数の道場で指導している身である以上、大会に強行出場して怪我を悪化させ、指導が出来ないとなると稽古生に迷惑をかけてしまうと思い、トゥルのみに出場する事に決めました。

怪我をしている中でどのような稽古を行いましたか?

足の指が骨折していたので、トゥルは全力で稽古をすることが出来ませんでした。
しかし、ファラン朴武館で行われている有段者技術研究会で、トゥルの意味や動作の適応方法等を学ぶことで、全力で動けない状況でもトゥルに深みを出すような稽古をする事が出来ました。

教えている道場生へのメッセージ

当日、応援に来てくださったり稽古中に応援のメッセージを頂いたりと、本当に道場生の皆様には励まされました。
そのおかげで優勝することができ、 自分は幸せものだと思います。 道場生の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

朴禎賢師賢コメント

船水師範、全日本トゥル四段の部初優勝おめでとうございます。
並びに、
全日本二十回連続出場の快挙、本当におめでとうございます。

20年連続出場という事は、船水師範がまだ中学3年15歳で2001年第12回大会からの出場ですね?!本当に凄い事です。
現在、全日本出場可能な年齢は18歳ですので、今では、とうていできない事です。

子供の頃から荒川道場で共に汗を流して来た船水、金寛烈、姜昇利の跆拳道朋友三師範が同時に二十年連続出場を果たした事は、全日本Legend(レジェンド)と言っても過言ではないでしょう。

いま大会審判と運営を担っている私と黄秀一師賢、朴ソンファ師範は、90年代に荒川道場で指導を担当していたので、指導者冥利尽きるとても嬉しいことでした。我々も気付かない間にずいぶん歳を取ってしまったと驚いてしまいましたが。笑

改めて優勝おめでとうございます。

さて、四段となると、まぐれで偶然の優勝などありません。
ましてや、足親指骨折をした状態で思い切った動作をすることは。 全てを懸けて挑む執念が感じられました。

私は船水師範が6歳で荒川道場に入門してから今日まで、跆拳道一途な姿を見てきました。

跆拳道ひと筋三十年。

人生の貴重な時間を捧げ積み上げた努力の賜物であると心から敬意を表します。

今の全日本トゥル四段のレベルが、世界に通ずる高水準に達していると感じています。

四段の勝負となると、正しく、丁寧で、上手にできれば良いものでしょうか?
私はそうではないと思っています。

トゥルは、鍛錬を積んで出来上がる芸術です。修得の道は難しいものです。

技術の用途、原理、原則を身体にすり込み修得し、最終的には、「動作が綺麗で上手なトゥル」でなく、「心から表現するトゥル」、「心技一致」の極地を追求してゆくことになります。

船水師範と行う稽古の中や、稽古後の雑談の中で、このような話を多々してきました。

今後も跆拳道精神が伴った「心技一致」を求めて研鑽を重ね、この優勝を更に価値の高いものに輝かせて欲しいと思います。

これからも共に跆拳道の奥の深さと至難の技を求め歩んで参りましょう。

朴禎賢