2025年10月7〜13日、イタリア・イェーゾロにて開催された第23回世界テコンドー選手権大会で、ITF競技委員として尽力された朴禎賢師賢に、大会の感想などをお伺いしました。

はじめに

2025年10月6日から13日まで第23回ITF世界跆拳道選手権大会が、アドリア海の最北端「ヴェネチアのリビエラ」と呼ばれる人気リゾート地イタリア北部のイエーゾロにて、盛大に開催されました。

私は、ITF競技委員として、2008年12月より当時ITF2代目総裁・IOC委員の張雄チャンウン総裁より任命を受け18年間携わって参りました。

世界大会組織委員会メンバーとして、正統跆拳道の祭典と言える第23回世界大会は大きく「三つの特徴」があったと思います。

  1. 世界80数か国より1,400余名が一同に集結し、世界最大で最新の技術水準で競い合った「最高峰のITF世界大会」でした。
  2. 崇高な跆拳道の精神と理念の下、互いの友誼と信頼と絆、連帯感を強く深めた「友好と親善を深めたITF世界大会」でした。
  3. 正統跆拳道を修錬する真の跆拳道人は、礼儀を重んじ、正誤をわきまえ、廉耻の心を知り、苦境に忍耐ができ、自身の弱さに向き合い克服し、挫折と失敗から学び百折不屈する精神を掲げています。
    今の難しい世界の現実と現代社会の中で、希望を失わず、平和を愛し正義を守る勇敢な人たちが、世界大会を主催した真の跆拳道人でありました。
    「正義と平和を愛する人類の希望となったITF世界大会」でした。

跆拳道七十周年記念会

今年2025年、ITF国際跆拳道連盟は、1955年の跆拳道創立より七十周年を迎え、世界の武道史に新たな歴史を刻みました。

世界大会開催の前日には、約100数名が参加した「ITF国際技術セミナー」と、八十数カ国の代表が参加した「ITF総会」、そして、「跆拳道創立七十周年記念祝賀会」が行われました。

特に、七十周年記念祝賀会では、リヨンソン3代目総裁より、跆拳道創始者チェホンヒ先生が創立より今日まで、世界規模に発展を遂げた正統跆拳道が、更にこれから十年、二十年、三十年先に向かって邁進する力強いメッセージが伝えられました。

1955年跆拳道創始者
崔 泓熙総裁
1983年 日本国際跆拳道協会 設立者・初代会長
全鎮植(ジョンジンシク)ITF首席副総裁

そして、長きに渡り跆拳道の普及発展に貢献した『跆拳道七十周年記念 特別功労賞』が各国マスターたちへ授与されました。

世界の9段位を持つグランドマスター達が表彰される中、私の師匠である、日本国際跆拳道協会ITF-JAPAN 黄進師聖(Grand Master Hwang Jin)九段が表彰された時には、感動で胸が踊りました。
1982年東京府中道場を設立され、1983年に日本国際跆拳道協会を創立された、初代日本会長でITF首席副総裁の全鎮植(ジョン・ジンシク)会長の顔が目に浮かびました。

黄進師聖が日本跆拳道の草創期より数々の出来事が私の脳裏によぎり、感慨無量でした。

各国グランドマスター達、ITF国際委員マスター達が表彰される中、ITF世界大会競技委員として多少の貢献が出来た小生にも、僭越ながら「功労賞」を授与頂きました。
自身の跆拳道人生の中で、身に余る栄誉とも言えます。

総会模様
30年来の旧友
トルクメニスタン副会長 アイドグディ師賢8段

私と師範達が共に稽古する朴武館の道場には、跆拳道を創始された崔 泓熙総裁、日本跆拳道の父 全鎮植首席副総裁、師匠黄進師聖の写真が飾られています。
日本の正統跆拳道を草創期より支えた偉大な先人たちから学び、伝統を継承して行く為に、また、先人達の偉業を決して忘れないように掲げているのです。

跆拳道一筋三十年!
共に歩んで来た弟の朴武館 朴禎祐会長と
世界の跆拳道マガジン TKD TIMES 鄭宇鎮会長(GM Woo Jin Jung)と
ITF競技委員長 チェコ 黄ホヨン師聖9段、 TKD Times USA チョンウジン会長、 ITFスポークスマン USA ジョージ師聖と

武道は、師匠から自身が学んだ事を弟子達に正しく継承してゆく事が最も大切です。

おのれ自身が日々厳しく修錬し、次の世代に正統跆拳道の技術と精神を正しく継承してゆく事を目標にしています。

十年後の2035年には八十周年、
二十年後の2045年に九十周年、
いよいよ三十年後の2055年には、
「跆拳道創立100周年」を迎える事になります。

私はこの度、「特別功労賞」を授与される名誉をいただき、跆拳道100周年を迎えるその日まで、正統跆拳道の普及と発展に寄与し、
「吾道一貫」
の心で邁進してゆく事を決心をしました。

ITF総会にて 李ヨンソンITF総裁と
ITF総会にて 李ヨンソンITF総裁と日本審判員たちと
マレーシア跆拳道協会会長
タン チッ シ師聖9段
アジア連盟副会長で インド協会会長の 旧友ラジェンドラ師聖9段と。 〜1992年第8回世界大会マッソギ同じ階級の旧友
ITF競技委員 南アフリカ ジャレン師賢と
ブルガリア プロブディフ副市長
ディノ師範と
ITF競技委員
スペインのフランク師賢と
グリーンランドの師範と

ITF世界選手権大会の競技

正統跆拳道は、トゥル、マッソギ、スペシャルテクニック、パワーテクニック、チームルーティンの五種目を男女の個人戦、団体戦で競います。
また、年齢別にジュニア、アダルト、ベテラン(シルバー・ゴールド)のクラスに分かれています。

世界八十数カ国、選手役員1,400名が一同に会し、あさ9時からよる8時まで5日間競技を行う事は、圧巻でした。
世界中には跆拳道愛好家たちがこの様にたくさんいる事に喜びと幸福を感じました。

トゥル

トゥルは年々、世界のレベルが向上しています。
世界大会、大陸大会の活発化によるものだと言えます。
日本跆拳道は、道場の稽古時間の中で基本動作やトゥルに費やす時間が比較的に多く、基礎が整っているので、他に比べて、常に入賞する強い種目です。

大会を通じて、ITF競技委員長より、「日本で学んでいる選手達は、正統跆拳道の最大の特徴であるサインウィーブを正しく学び理解している。とても良い、世界の手本となっています。」
また、「日本の選手達は、今後、欧米選手のような力強さが備われば、良いと思います。」とメッセージ頂きました。

マッソギ

海外選手達は、身体的にも精神的にも強い。
手技パンチからの攻撃は巧みで、回転技、跳び蹴りは日本の選手に比べて、遥かに上達している。
世界を目指す選手達は、海外選手達にステップワークからの連続チャギ、防御技を稽古に取り入れ、対人稽古により、相手との対応力を身につける事が課題とされます。
また、時間をかけて、基礎体力を養う事が大切です。

審判員たちと
国際審判員たちと

国難を越えて、明るい未来に向かう!

混沌とした世界情勢の中で行われたITF世界選手権大会。

世界大会に向かう飛行機に乗る私の心境はとても複雑でした。

戦争止まぬ世界情勢の中、ウクライナの選手達が大会参加を表明、喜びと不安が混在しました。

連日、日本の報道は、爆撃で瓦礫化した市内模様、駅のホームに避難する人集り、泣き叫ぶ子供達と女性達の姿でした。
家族を持つ兵士達は、どういう心境なのかを思うと、心が痛みました。

世界大会では、国難を超えて、勇敢に跆拳道に挑んだウクライナ🇺🇦の選手の勇姿に、世界は拍手と喝采を惜しみなく贈りました。
最後の閉会式典で「大会最優秀国」に選ばれたウクライナ🇺🇦おめでとう!

「戦争は破壊、平和は共存。」
人類の歴史は、教えています。

跆拳道の持つ、共存共栄の武道の精神がどんな逆境にも打ち克つ、
「希望の灯火」
となる事を改めて感しました。

跆拳道万歳!!
ITF万歳!!

2025.11.28
朴禎賢

日本跆拳道役員とイタリアへ向けて先発。
ドバイ国際空港にて
ITF-JAPAN 黄秀一監督と
ベネチア国際空港
日本からの世界大会応援団と。
小倉道場森松師範
モンゴルの旧友達と