こちらのコラムでテコンドーに活きる胸と背中のトレーニングをご紹介します。

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胸のトレーニング

稽古の前後の道場など、器具を使わない環境で行う筋トレの一つとして腕立て伏せが推奨されます。
代表的な腕立て伏せです。

腕を立てているだけで、あくまでメインで鍛えるのは胸、次に体幹部です。
まずはゆっくり行い、フォームを身につけます。初心者の方や女性は最初は難しいので膝付きでOKです。

腕立て伏せくらいできるぜよ!という方も多くいらっしゃるかと思いますが、ポイントを抑えると結構難しいので以下にまとめてご紹介しましょう。

  1. 前腕は地面にまっすぐ立てる
  2. 腹筋に力を入れて腰が反らないようにする
  3. お尻の筋肉にも力を入れる
  4. ②と③の結果、頭からつま先まで一直線になる

③の尻に力入れるのは何?とお思いかもですが、腹筋に力が入るとお尻の筋肉も力が自然に入る性質があります。
立って壁や何か重いものを手で押すイメージをするとわかりやすいかと思います。重いものを手で押すためには腹筋に力が入り(これが②の理由)、地面を押すためにはお尻の筋肉を使う事になります。③がしっかりとできれば素晴らしいです。後日お尻を使いやすくするトレーニングもご紹介致します。

また、足幅は開く程バランスがとりやすく、楽になります。あえて片足や狭くとることももちろんありです。

腕の位置は狭いほど肘を伸ばす作用が強く働くため、一番楽に行える場所を探してみることをおすすめします。一番安全かつ効果的に胸に刺激を入れるならば、動画のようにみぞおち付近がやりやすいかと思います。箇条書きしてるのに結局文章になるという。

バリエーション

手幅や足幅のように細かい違いも大切ですが、それ以上に速さが大切です。
後述のものほど強度が上がりますので、最初は下記のゆっくりパターンからじっくり焦らず鍛えていきましょう。

↑ゆっくり基本のフォーム

↑ゆっくり下がって素早く上がるパターン

↑上下とも素早いパターン

腕立てに限らずすべての種目に言えることですが、「短い時間で高い力を出す」事はパフォーマンスを上げる上で非常に大切な要素です。教科書的にはゆっくり行うと書かれていることが多いですが、あくまでそれはやり始めたばかりの初心者の話だったりします。

スクワットで考えるとわかりやすいですが、筋や腱、骨や関節にかかる負荷はゆっくり行うときよりも明らかに競技中の負荷のほうが高いのです。従って、競技に耐えうる負荷を普段のトレーニングで養っておかなければなりません。

背中のトレーニング

テコンドーは体をひねったり回旋する動きが多くあります。

そのときに例えば胸や腹筋だけ強くても効率よく動くことができずに勿体ないのです。胸や腹筋などの前面の筋肉が「押す」種類だとすると、背中や後面の筋肉は「引く」種類になります。

竹とんぼを飛ばすように、押す引くのどちらか片方だけ強くてもうまく飛びません。押す引くを同時に行って初めて最小限の力で効率よく回転軸がつくれるのです。
そんなわけで背中も見ていきましょう。

↑対角線反り(右の背~左の尻、足)

歩くときに右手が前に出たら左足が前に出るように、ヒトの体は対角線で斜めに力を出す仕組みがあります。
テコンドーの技でみると、横蹴り(ヨプチャチルギ)では引き手をとる左の背中と蹴り足となる右足が一緒に使われるといった感じです。要は斜めに、対角線で連動しているのです。

左の背~右の尻、足が連動しています。

それを左右同時に行うと以下のような平泳ぎのような動きや、引く動きになります。

平泳ぎ

帯を引く。腕も使いますが、これも背中です。

ちなみに帯を引く動きは前腕の向きにご注目。
帯を真下でなく斜めに引いてしまうとわちゃわちゃします。腕立てが前腕を地面にまっすぐ立てるように、引く時もまっすぐにしてあげましょう。

わちゃわちゃします

あくまで今回は器具を使わない自重の種目に限っています。自重の種目にはそれでしか持ち得ない効果があるのと同様に、バーベルやダンベルなどの器具を用いてもまた違った効果を得る事ができます。種目が違えばフォームも違い、効果も違うわけです。

人間、どんな運動をしてもそれなりには疲れます。世界で最高の指導者が作ったメニューをこなしても疲れますし、世界で最低の指導者が作ったメニューをこなしても疲れるのです。ご自身の行うトレーニングがもたらすのはただの疲労か、それとも効果か。ただの変化か、狙った成果か。

筋トレをされること自体は非常に素晴らしいことですが、ぜひとも具体的な目標や目的を持ち、地図を見るように目標に近づいているか随時確認しながら行うことをオススメ致します。

なんとなーく筋トレしておくのではなく、具体的に何に活用したくて腕立て伏せをするのか、何に活用したくてスクワットをするのかをはっきりさせておくことが大切です。

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